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夢スケッチ 第2回 (20180225)

​森の中の家 の夢

 

今日はいよいよ「夢スケッチ」本格展開の第2回!

 

今日のお客様は、以前からの知り合いの、OLをされている女性で、すまいについてはまだ具体的に考えているという話は聞いたことがなかった方です。

プロフィールからの予想では、ちょうど「夢スケッチ」で、すまいやその前提となるご自分の人生について、自由に夢を広げてわくわくする体験をしていただけるのでは?

とこちらの期待も高まります。

いい体験を持って帰っていただけますように。

…ところが、今回は「ちょうど標準的な夢スケッチの事例にできる標準的な体験だろう」というこちらの予想をいい方向に裏切って、かなり変幻自在でファンタスティックな夢スケッチになりました。

 

最初は、お客様も「建築士とすまいの話をするのに、何にも知らないし、緊張する」と感じていた、とのことでしたが、だんだん気持ちがほぐれていくと、すごい展開に。

 

最初はお客さまの住まいに対する思い込みの枠を取り払って、すまいに対する夢、好きな空間、を自由に話してもらうために、当方としてはかなりとんがっていると思っている「世界の夢のすまい」を紹介していたのですが…

まず、ご自分の中にあるイメージを引き出すためにキーワードを挙げてもらったのですが、

最初に出てきたのは「曲線」「非日常」「人工物と自然のコントラスト」でした。

 

ここまでで、キーワードから喚起される私のイメージをスケッチ。

まず、曲線でできた豊かな自然の中に人工物であるガラスとコンクリートのすまいが屹立している、という風景を描きました。

 

それを見たお客様は、先ほど挙げたものに加えて大事なキーワードとして、

「リラックス」「安心」「体内(生き物の内側)に還る」「カッパドキアのような洞窟住居」「内装は白壁と自然木のインテリア」「ありきたりでない、曲線の窓」

というキーワードを出され、少し前に行ってきたタイのチェンマイの旅で泊まったコテージの写真を見せて下さいました。

まず、

この写真をもとに、お客様はこの空間のどこに惹かれたのだろう?

ということをつかむため、対話を開始しました。

この「お客様が惹かれたポイント」をつかむことができれば、そのポイントがある空間は必ずお客様を「満たす」はず、というのが私の考えです。

好きな空間と聞いて色や形だけを再現すると、必ずしも満足できず「あれ?」という結果になることもこれまでの住宅の設計の中でたびたび体験済みなので。

写真を見ながらお話をしていただくと、惹かれているポイントは

「素材は自然のもので、特に木が自然の形、素材感を残して使われている」

「空間には角がなく、出ているところも隅も角がなく曲線になっている」

一方で「設備などはきちんとしていて、快適に過ごせる」

また、ご自分では言葉にできなかったポイントとして

「空間がシンプルで自然と自分の距離が近い」

というものを当方から挙げました。

​接待係のポノも今回は出番なし

また、家族の在り方に話が及び(このころになると緊張もすっかり解け、「ご自分の内側にある想い」を出してくれているようでした)

家族と言ってもずっと同じ空間ではなく、それぞれの居場所を分棟の形で森の中に配置し、それぞれの棟はランダムな曲線の散策路で緩やかに結びついている、という形が出てきました。

さらにすまいのための棟の間に「キッチン、ダイニング、浴室」を収めた「共用棟」を配置します。

他に庭に欲しいものとして「ストーンヘンジ」「ケルト的なもの」

さらに形として「らせん」が欲しい、とのことでした。(^-^;

それを基に、先ほどの平面配置図を立体化したものがこちらです。

ここで、また以前行った、安曇野のリトリート施設「養生園」の写真を見せていただき、そこのインテリアのテイストも見せていただきました。

ここまで来ると、最初、お客様の中にあった「本当の気持ちはこれなんだけど、建築士の人にこんなことを話しても受け入れられないのでは」「常識的な範囲で話を進めないと話にならないのでは」といったためらいの気持ちも吹き飛び、ハイテンションです(^-^;

 

私もお客様の心の中から湧くエネルギーの流れに参加させていただき、スケッチをしまくります。(^-^;

当方からも、「ストーンサークルは「聖地」として敷地内の小高い所に置こう」「聖地に行くときは結界としてのせせらぎを渡っていくようにしよう」

など、お互いにトランス状態です。(^-^;

 

結局、約3時間(実質は2時間半)で、上記のようなスケッチに行きつきました。

さらに、この結果のスケッチに込められた要素をキーワードとして抽出して、今日のゆめスケッチを終えることにしました。

 

そのキーワードとして出てきたのが、こちらです。

全体コンセプト

自分とそれを包む空間と宇宙は一体で自然と建物が調和したコントラストを形作る。

 

プランや配置に関して

1. 家族各々が分棟形式

2 結びつきはゆるやか(お互いは曲線の散策路でアプローチする)

3 共用広場:ガジュマルの木、小さなストーンヘンジ

4 聖地  :小高い丘、結界のせせらぎ、大きなストーンヘンジ、焚火の広場

 

インテリアに関して

  1. 自分の空間を確保する。

  2. 自分を囲む空間は自分を守ってくれる場

  3. 自分と囲んでいる空間と宇宙の境があいまいで一体につながっている

  4. 空間は角がなく(凸も凹も)自分を受け入れてくれるかたち

  5. 素材:自然のもの

       壁 :漆喰系できめ細かい肌ざわり

       家具:自然木を生かしたもの、形:曲線

  6. 空間:シンプルで自然と自分の距離が近い(自然のすぐそばで暮らしている感じ)

いきなり聞かされる方にはついていけない印象を持つ方もいらっしゃるでしょうが、

夢スケッチのセッション中、ご本人から繰り返しお聞きし「この人が自分をかこむ空間に本当に求めているものはこれなんだな」と実感できましたので、このようにまとめさせていただきました。

ご本人も、今まで頭の中でイメージでしかなかったものを具体的な形に表し、さらにそれをキーワードにしましたので、心の整理がついてとてもすっきり落ち着かれた気分になったようです。

ご本人にとても喜んでいただき、こちらもその喜びに参加できて、とても満足のいく、うれしい体験でした。

 

もし、これからこのきもち、キーワードを基にすまいを具体化する時が来ても、今日、形や言葉に現れたものを守って進めれば、きっとご本人にとって深い満足の得られるすまいに実ることと思います。

 

今日はおつかれさまでした。そしてよかったですね。

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